コロナ禍の今だからこそ注意が必要!アルコール消毒によって起こりやすい家具や、扉などの塗装トラブル
昨年から起こったコロナの影響によって、私たちの生活の中には新しい習慣が組み込まれました。そんな習慣の中の一つにあるのがアルコール消毒。
自宅に帰ったとき、または、来客用にと、玄関に手指の消毒用にとアルコールの入ったボトルを設置されていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
もしもこぼれたら…と、あらかじめトレーなどの上にアルコール消毒液を置かれてらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、手についた液体が完全になくなる前の状態でうっかり家具や扉を触ってしまうことも多々在るかと思います。
今回はそんなアルコール消毒によって引き起こされたトラブルについて記載いたします
大切な家具の天板にシミが!
先日完了した、アンティーク家具修繕のご報告です。
お客様が玄関に設置し、大切にご使用になっていた大きな鏡のついたアンティークの重厚なキャビネット。残念なことに天板に片栗粉や小麦粉を溶いた水が乾いた後のような白いシミがいくつもついております。
お話を伺うと、帰宅後に使用するためのアルコール消毒液を天板の上に置かれていたとのこと。
そうです、この白いシミはアルコールによってできた塗装の変色だったのです。
アンティーク家具の場合、現在の塗料よりも塗面が弱く(天然の樹脂やオイルを使用したものなどナチュラルな塗装が多い為です)、アルコールや、重曹やセスキ、拭き掃除用の洗剤などによってあっという間に塗面が台無しになってしまうことが多々あります。丁寧に説明をしてくれるアンティーク家具専門店であれば取り扱いについても詳しく説明をしてくれるのですが、専門的な知識となるため、アンティーク全般を扱ってらっしゃるお店の中には説明できない販売店もあり、その為購入後の手入れやNG行為を知らぬままご使用になってらっしゃる方も多いいように思われます。
アンティーク家具をお持ちの方は、どうぞご注意ください!
再塗装をすれば家具は蘇る
天板に付着した汚れとは異なり、塗膜自体が化学反応によって変化してしまうと、上から塗装を行っても治ることはないので、既存の塗装をすべてサンディングと薬剤を使用し、はがしとる必要があります。
家具は重厚な無垢材の天板を使用しておりましたので、塗面をはがすときれいな状態の木地が現れます。
※ナラ材、ウォールナット使用と記載されている流通された家具の場合、いわゆるベニヤ板、MDF、集成材などの材料の上に、木材を紙のように薄く裂いた板(突板)を張り付けて仕上げられたものが多く、その場合、サンディングを行うと突板が削り取られ素地が現れてしまうため、残念ながらこのような工程を踏むことが出来ないものが多いのです。
木地をきれいに整えたら、既存の塗装に合わせて調合した着色を行い、そのうえから保護膜となるウレタンを何度も何度も…乾いては塗面を整え、再度塗るを繰り返し塗装します。家具全体を再塗装する場合はエアガンなどで吹き付けるのですが、今回は天板のみ、そして別荘のお客様ということも在り冬季期間はご不在でしたので、現場で丁寧に手塗りで仕上げていきます。
今回のトラブルの要因はなんといっても「アルコール消毒」!とはいえ、まだまだコロナの終息が未知数の今、この習慣をやめるわけにはいきません…。
そのため、これからも安心してご使用いただけるようにアルコールに強い特殊なウレタンを使用しました。(F★★★★登録商品で食品衛生にも対応た、安心できる塗料です)
ウレタンは強度があり便利なのですが、粘度が高く伸びが悪い為均一に塗るのがなかなか難しい塗料です。そこで、弊社で家具のウレタン塗装をご依頼いただいた際に担当してくださる、塗装のプロの出番となります!
信頼のできる塗装屋さんの手にかかれば…
こんなに美しく仕上がりました!!(本物より艶がきつく映ってしまっているのが残念!)
検索をしてお越しいただいた中には、
「自分でやってみたい!」
と思われる方もきっといらっしゃるでしょう…。
でも、記載したように今回の塗料はDIYで行うには非常に難易度が高く、うっかり大事な家財を台無しにするようなことがあってはいけない為、情報を記載する者の責任としてあえて塗料の詳細は記載しませんでした。ご了承くださいませ。
今回のように丁寧に作られた家具は、塗装や細部の作り替えなどが出来るため、時代を経ても何度も、何度も美しくよみがえります!(これだから木という素材の魅力は付きなのです…)
もしもアルコール消毒によって変色した家具をお持ちの方は、あきらめて廃棄する前に是非一度、ご相談ください。
これからもずっと生活に寄り添ってくれる家具として、再生することが出来るのですから!
家具や扉などの再塗装お受けいたします